2018.9.19 ヘアループメニューが始まってから、先行導入を含めると約1年が経過しました。多くのサロンにヒアリングを行う中で、みなさんに共有したい良い情報もたくさん出てきていますので、サロンインタビューと言う形で、紹介していきます。
第3回目は福岡県早良区のBALANCE南庄店マネージャーの神谷(こうや)さんにお話を伺いました。1年前の先行導入から、四苦八苦しながらもメニュー定着にたどり着いたBALANCE南庄店。神谷さんのヘアループを使った教育・マネージメント論とは?前編・後編に分けてお届けします。後編では7月に行われたヘアループコンテスト優勝者の増山さんも登場します。
BALANCE南庄店 マネージャー神谷さん
BALANCEは分業制になっているので、それぞれが高いレベルでお客様にサービスを提供できます。
―自己紹介をお願いします
神谷:株式会社BALANCEの神谷です。美容師歴は18年でBALANCEに入って6年目ですね。その前は別の店で9年やって、店長を務めていました。独立も考えていたのですが、オーナーの橋口と話しすることがあって、向かっていく方向性や考え方が非常に共感でき、一緒にやりたいと決意しました。
―同じ方向性とは何だったのですか?
神谷:スタッフのことを考え、スタッフの未来の活躍の場を作っていくこと、そこにお客さんが加わったらどうするのか?などの常に現場を作り出していくこと。また、スタッフの環境も考えることですね。BALANCE南庄店にはキッズスペースもあるので、育児中のお客様が安心してご来店できるのも、その一環です。
―いい環境ですね。スタッフさんは何名で運営されていますか?
神谷:私を含めたスタイリスト3とアシスタント3名です。
―南庄店はカフェカウンターがあってお洒落ですね。
神谷:カフェカウンターとカフェスペースがあるので、お客様の第三の家としてリラックスできる空間を目指しています。
ゆっくりとお話しできるカフェカウンター
―確かに居心地が凄く良いです。リピートのお客様も多そうですね。
神谷:はい。BALANCE南庄店は2006年からスタートしていますが、もう12年ずっと通っていただいているお客様も多いですね。
―南庄店の特徴はありますか?
神谷:BALANCEは分業制になっているので、フォルムデザイナー、カラーデザイナー、ケアリスト、アイリスト、ネイリストそれぞれが高いレベルでお客様にサービスを提供しています。トータルビューティーを目指す中で、全員で「美」を追求していますね。
―それは面白いですね。神谷さんは元々従来のスタイルである、完結型と言うか一人で仕上げる手法で美容師をスタートしたと思うのですが、比べてみて今のスタイルはどうですか?
神谷:お客様が求めるもの一つ一つにこだわって、熱量を注いでいくのは難しいし、1人が一つ一つの技術を深く極めていこうと思ったら、時間が必要なので、そこで分けているゆえに特権があるのかなと思います。従来の私たちが勉強していたカラーの知識より、カラーデザイナーの方がダントツで良いです。
BALANCEの魅力をかたる神谷さん
―確かに同じ金額だったら、スペシャリストの方が良いですね。ちなみにどの段階で、その道のスペシャリストにアサインするのですか?採用の時点ですか?
神谷:そういう方も中にはいますね。BALANCEが分業制と知っている方は、〇〇になりたいと思って入ってきます。通常は入社して経験をしながら、9か月~1年くらいで決めていきます。
スタッフがヘアループを理解することから始めた
―適材適所をお互いが見つけながらの業務なので理想的ですね。では、そろそろヘアループの話に。メニュー化させて一年くらいとの事ですが、導入のきっかけは何だったのでしょうか?
神谷:お客様が求めるデザインにするためには、カットをしている中で、疑似的に既存の毛でカバーしたり、パーマをかけたりしていたのですが、プラスしてデザインを作っていけるヘアループに凄い技術だなと思って導入しました。
―1年前はヘアループ黎明期で、ゼロからのスタートだったと思うのですが、大変だったことは何でした?
神谷:まずは、スタッフがヘアループを理解することですね。要は「増毛技術=マイナスイメージ」から入ってしまって、技術は出来るようになっても、お客様にお話しが届かない。このことに悩みましたね。ここ最近でやっと、「ヘアループ=デザイン」に近づけられたのかなと思っています。チラシも新しく作ったのですが「ヘアループ」と言う技術を前に出さずに、デザインがあって、その方法としてヘアループがあるように見せています。
―チラシも大変よく出来ていますね。悩み事にカテゴリー分けされているのもお客様にわかりやすいと思います。現時点での提案はどのようにされていますか?
神谷:最終的にはお客様に合わせた提案は、デザイナーがしています。スタッフ全員がヘアループの説明は出来るだろうけど、やっぱり形を作るデザイナーがダイレクトに提案する方が良いですね。
―提案してからのお客様の反応はいかがでしょうか?
神谷:すぐに「やりません」との反応は無いですね。ただ、即決も難しいので、次回予約の時にお試しでヘアループの予約を入れられることは多いです。少しずつヘアループが良いものだと浸透しています。
看板でもヘアループをしっかりアピール
―ヘアループを着け終えたお客様の反応はいかがですか?
神谷:今は「凄い!」「変わった!」などのお声を頂けるのですが、始めた当初はまだまだ形状記憶やヘアループの特性など分かっていなかったため、100~200本の少ない本数だと結果が出ないことが多かったですね。
―なぜ反応が変わってきたと思いますか?
神谷:実際、本当の意味で理解してきたのは、ここ最近で、やっぱり、コンテスト(※ヘアループコンテストはこちら)を通して、デザインがしっかり変わっていく様を見たり、お客様のリアルな反応や、リピーターの声を聴くうえで自信になっていきましたね。
BALANCE南庄店のカフェカウンターで雑談する神谷さん
一年生がヘアループの技術において信頼を勝ち取っているのは凄いこと
―大会はやはり大きかったですか?
神谷:はい。大きかったですね。企画から大変だったのですが、やって良かったです。
―見事に増山さん(BALANCE:南庄店アシスタント)が優勝しましたね。
神谷:今回うちのアシスタントが優勝したのですが、技術に関しては、店長だからとかデザイナーだからではなく、みんなが共有して学べる、同じ土俵でやれるのがヘアループの技術ですね。アシスタントがシャンプーマンと呼ばれることなく、ヘアループを通して早い段階からお客様と接することが出来ることが今までなかったので、この動きは良いなと思っています。一年生がヘアループ指名を受けたり、技術において信頼を勝ち取っているのは単純に凄いと思いますね。
神谷さんとコンテスト優勝者の増山さん(左)
―ヘアループを使った特別な取り組みはございますか?
神谷:秋口からは髪が抜けやすくなっていきますので、今までパーマをかけていたお客様には、ヘアループを施術していますね。パーマだと根元の立ち上がりだけ欲しいのに、余計な部分にもかかっていまいブローが必要でしたが、ヘアループだと乾かすだけで済むので進めやすいです。あと、カラーで使ったら面白かったですね。表面のみ300本をご提供したのですが、良くできたと思っています。
多くの失敗をして学んだことが活きています
―神谷さんがマネージャーとして取り組んでいることはありますか?
神谷:スタッフがデザインとしてとらえて、当たり前にお話しできる状態に持っていきたいですね。そのために、独自の教本など作っています。練習に関してもアシスタントが納得いくまで、行うので、4000本近くつけますね。
―4000本は凄いですね。増山さんが優勝した理由が分かります。教本も良く出来ていますね。
神谷:ありがとうございます。僕の経験の中での着け方など、技術解説を作りました。技術レッスンはやっていて、着ける技術は問題無いのですが、着ける正確な場所が分からない。それが提案数の少なさに繋がっていたと思います。教本があることで、EXLOOPを迷いなく着けることが出来て、お客様に喜んでもらえて、共感できることで自信に繋がったと思いますね。最初に多くの失敗をして、学んだことが、今、いろいろな方面で活きています。
チラシと教本。チラシはBAKUグループでモデルを出し合って作成
―通常、失敗したらそれで終わりなのですが、神谷さんは原因を追究して、研究して、次回に活かすところがすばらしいですね。ヘアループで売り上げを作っていく戦略などはお持ちですか?
神谷:最初は500本などをつけて変化を楽しんでもらっていたのですが、試行錯誤の中で、より少ない本数で、長く楽しんでもらうようにシフトしています。多い本数をつけて1回で2万円よりも、200本程度を足しながら中長期でご来店頂きたいですね。
参加グループのみんなが求めていたもの
―ヘアループコンテストはどのようないきさつで開催されたのですか?
神谷:いつもはこのBAKUグループでスパのコンテストをやっていたんですね。でもちょっとマンネリ化していたので、ヘアループで企画して提案したところ、面白そうだねと実現しました。
―反対は無かったですか?
無かったですよ。実際やってみて面白かったですねー。グループ参加の各サロンも悩んでいたと思うんです。今回のヘアループコンテストは、新しいメニューの推進にもつながり、参加グループのみんなが求めていたものなんじゃ無いかと思います。コンテストや大会って、先輩たちが勝ち上がってしまうのですが、今回のように入社数か月の新人が賞を獲ったのも面白いかったですね。
―神谷さんの愛弟子ですもんね。実際にアシスタントさんの生産性は上がっていますか?
神谷:はい。生産性も非常に良いです。アシスタントは今まではシャンプーのみだったのですが、ヘアループを施術することで生産性は2倍以上になっていますね。
―お客様へのメッセージをお願いします!
神谷:お客様に喜んで頂くために、いろいろな取り組みを行い、技術を習得していく中で、ヘアループのような新しいものや良いものを提供して、お客様にとっても長く付き合っていけるメニューを提案していまきす。長くやっていると、お客様の生活環境も変わっているし、お客様と一緒に歳をとって成長させていただいていますね。
―神谷さんありがとうございました!
後半はコンテスト優勝者の増山さんが登場です。
<サロン情報>
BALANCE南庄店
http://www.balance.vc
住所:福岡県福岡市早良区南庄3‐3‐12
電話番号:092-841-5335
営業時間:平日9:00~19:00 土曜10:00~20:00 日祝10:00~19:00 (カット最終受付閉店1時間前)
定休日日:毎週月曜日、第3火曜日
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